トリートメントをしても、オイルをつけても、しばらくするとまたパサつく。ツヤが出ない。
この状態を「髪が乾いている」と説明されることが多いのですが、実際に起きているのは、髪の表面が傷んで光が返らなくなっていることです。
そして、ここが大事なところです。一度傷んだ部分は、元には戻りません。
厳しい話に聞こえるかもしれませんが、これを知っているかどうかで、やることが変わります。この記事では、パサつきの原因を場面ごとに分けたうえで、戻せるものと戻せないものを正直に整理します。
1. ツヤは「光の返り方」で決まる
髪がツヤやかに見えるとき、髪の表面では光がそろった方向に返っています。
髪の表面は、うろこのようなものが重なってできています。これがきれいに寝ていると、当たった光がそろって返るので、そこが帯のように光って見えます。これがツヤです。
傷むと、このうろこがめくれたり欠けたりします。すると光がバラバラの方向に散ってしまい、どこにも光の帯ができません。これが「ツヤがない」状態です。
つまりパサつきは、水分が足りないというより、表面が整っていない状態です。水をつけても解決しないのはこのためです。

2. パサつきの原因は、場面で分けると分かりやすい
ひとくちにパサつきといっても、原因は人によって違います。よくあるのは次の4つです。
① 髪を伸ばしている(毛先が古い)
意外に見落とされるのがこれです。
髪はひと月に1cmほど伸びるのが目安とされています。ということは、肩につくくらいの毛先は、生えてから2年以上経った髪ということになります。
その2年のあいだに、シャンプー、ドライヤー、摩擦、紫外線をずっと受け続けてきました。ショートのときは常に新しい髪だったのが、伸ばすと「年をとった毛先」を抱えることになる、というイメージです。
傷んだから伸びないのではなく、伸ばしているから毛先が古くなる。順番が逆なんですね。
② カラー・ブリーチのあと
カラーは、髪の表面をいったん開いて中に色を入れます。そして開いた表面は、完全に元どおりには閉じません。
とくにブリーチは、色を抜くと同時に髪の中身も一緒に抜けていきます。回数を重ねるほど、その差は大きくなります。
③ 縮毛矯正のあと
薬と熱の両方を使うので、髪への負担は小さくありません。
とくに気をつけたいのが同じ場所に繰り返しかけることです。すでにまっすぐになっている部分にもう一度かけると、負担だけが積み重なります。かけ直しは伸びてきた根元だけにするのが基本です。
④ 毎日の扱い方
施術をしていなくてもパサつくことはあります。多いのは次の3つです。
- 濡れたまま放置する(濡れた髪は表面が開いていて、いちばん傷つきやすい状態)
- 摩擦(タオルでゴシゴシ、強いブラッシング、枕との擦れ)
- 紫外線(髪も日焼けします。とくに分け目)
3. 戻せるもの、戻せないもの
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

| 内容 | |
|---|---|
| 戻せない | すでに傷んだ部分そのもの。めくれた表面も、抜けた中身も、枝毛も、元には戻りません |
| 戻せる | これからの扱い方。乾かし方・摩擦・熱の入れ方・紫外線対策。そしてこれから生えてくる髪 |
髪は、爪や皮膚と違ってそれ自体が生き返ることはありません。だから「傷んだ髪を元に戻す」ことはできません。
では何ができるのかというと、2つです。
- これ以上進めないこと
- 見え方を変えること
オイルやトリートメントが役に立つのは、2つ目です。表面のめくれを一時的に埋めて、光が返りやすい状態にしてくれます。これは元に戻ったのではなく、見え方が変わったということです。
だから、洗えばまた戻ります。効果がないのではなく、そういう性質のものだと知っておくと、期待の持ち方が変わります。
4. 今日からできること3つ
「これ以上進めない」ために、いちばん効くものを3つに絞りました。
① 濡れたまま放置しない
濡れた髪は表面が開いていて、摩擦にとても弱い状態です。自然乾燥がいちばん髪にやさしい、と思われがちですが逆です。
② 乾かす前にアウトバストリートメントをつける
乾かす前に洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)を毛先を中心になじませると、ドライヤーの熱や乾かすときの摩擦から表面を守り、指通りとツヤを保ちやすくなります。オイル・ミルク・ミストなど形はいろいろありますが、当店では髪質改善メニューのお客さまに、オージュアのリーブイントリートメント(洗い流さないトリートメント)と、ミスト状の「アルタイム リペア ミラクルヘアトリートメント」を使っています。ミストは乾かす前にシュッとなじませるだけなので、ご自宅でも取り入れやすいタイプです。
つけ方には順番があります。手のひらと指の間まで広げて → 根元近くからシャンプーのようになじませ → 中間・毛先 → 最後に前髪。毛先だけにベタっとつけるより、全体に薄く行きわたるほうが効きます。
③ 摩擦を減らす
- タオルはゴシゴシせず、押さえて水気を取る
- とかすときは毛先から少しずつ。根元から一気に通さない
- 乾いていない髪をブラッシングしない
5. 「切る」という選択について
正直にお伝えすると、傷んだ部分をいちばん確実になくす方法は、切ることです。
ただし「バッサリいかないといけない」わけではありません。毛先を数センチ落とすだけでも、見た目の印象はかなり変わります。いちばん古くて傷んでいるのは、毛先の数センチだからです。
伸ばしている途中の方は迷うところだと思いますが、傷んだ毛先を残したまま伸ばすと、その部分はこの先ずっと一緒についてきます。少しずつ整えながら伸ばすほうが、結果的にきれいに伸びることが多いです。
6. 秋から冬にかけて気になりやすくなる理由
季節が変わると急に気になり出す、という方は多いです。理由は3つ考えられます。
| 要因 | 起きること |
|---|---|
| 空気の乾燥 | 髪の水分が奪われやすく、表面がめくれた部分がより目立ちます |
| 静電気 | 髪同士がこすれて、摩擦が増えます |
| 夏のダメージ | 紫外線や汗の影響は、少し遅れて毛先に出てきます |
つまり秋のパサつきは、秋に始まったものではないことが多いということです。夏のあいだに積み重なったものが、乾燥した空気で表に出てくる、という順序になります。
よくある質問
Q. トリートメントを続ければ、パサつきはなくなりますか?
傷んだ部分が元に戻ることはありませんが、手ざわりや見え方は変わります。また、これ以上進みにくくする助けにもなります。「元に戻す」ではなく「今の状態をよく見せる・これ以上進めない」ためのもの、と考えると使い方を間違えません。
Q. 市販とサロンのものは何が違いますか?
大まかに言うと、狙いどころが違います。市販のものは幅広い髪質に合うよう作られていて、サロンのものは髪の状態に合わせて選べる幅が広い、という違いです。市販でも合っているものを正しく使えば十分に役立ちます。値段より、自分の髪に合っているかどうかのほうが大事です。
Q. どのくらいの頻度で切ればいいですか?
伸ばしている方でも2〜3か月に一度、毛先を少し整えるくらいがひとつの目安です。傷んだ毛先を残したまま伸ばすより、結果的にきれいに伸びやすくなります。
Q. 縮毛矯正をかけると、髪はパサつきますか?
かけ方によります。とくにすでにまっすぐな部分に繰り返しかけると負担が積み重なります。かけ直しは伸びてきた根元だけにする、というのが基本です。担当の方に「根元だけでお願いします」と伝えて大丈夫です。
Q. ドライヤーは弱いほうがいいですか?
冷風や弱風でやさしく乾かすほうがいい、と思われがちですが、ドライヤーの熱くらいで髪が大きく傷むことはほとんどありません。むしろ生乾きのまま放置するほうが、表面がふやけて傷みやすくなります。温風でしっかり根元から乾かし、髪の内側まで温めるほうが、表面が整ってツヤが出やすくなります。ただし、熱いと感じるほど近づけたり、同じ場所に当て続けたりするのは避け、15〜20cmほど離して全体を動かしながら乾かしてください。仕上げに冷風を当てると、ツヤとまとまりが長もちします。
おわりに
パサつきの話は、「これを使えば直ります」と言われるほうが気持ちは楽かもしれません。
でも実際は、戻せないものは戻せません。そのかわり、これから先の髪は変えられます。
- 濡れたまま放置しない
- 乾かす前にオイルを少量
- 摩擦を減らす
この3つを続けていれば、いま生えてきている髪は、今の毛先とは違う状態で伸びていきます。そこがいちばん確実に変えられるところです。
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